
日本ワインを代表するブドウ品種、甲州。
白ワイン用の品種ではありますが、完熟すると果皮の色がピンクから薄紫になります。
2010年には「国際ぶどう・ぶどう酒機構(O.I.V)」のリストに登録され、ワインの醸造用の品種として国際的に認められました。
甲州の発祥
日本における甲州の発祥については、次の2つの説があります。ただ、どちらにしても古来より甲州が日本で栽培されていたのは確かと言えそうです。
大善寺説
奈良時代の僧侶・行基が現在の山梨県甲州市勝沼に大善寺を立てた際、甲州のブドウの蔓を発見したという説
雨宮勘解由(かげゆ)説
1186年に勝沼の山道で雨宮勘解由(かげゆ)という人物が発見し、持ち帰って育てたという説。
甲州のルーツ
2013年の独立行政法人酒類総合研究所の甲州のDNA解析によると、甲州にはヨーロッパ系の「ヴィティス・ヴィニフィラ」のDNAに、中国の野生種である「ヴィティス・ダヴィーデ」のDNAが少し含まれていることが判明しました。
このDNA解析の結果を受け、甲州はカスピ海付近で誕生し、中国の野生種との交雑を経ながら日本に渡ってきたと考えられるようになりました。
ワインの特徴

甲州から造られるワインは、柚子や蜜柑のような和柑橘や吟醸酒のような香りや、スッキリとしたなかにも上品な旨味のある味わい、ほろ苦い後味が特徴です。
甲州のワインは「控えめ」と形容されることもありますが、ワイン自体の主張がそれほど強くない分、食材の味を楽しむ和食との相性は抜群です。
また、近年では果皮と一緒に仕込む「スキンコンタクト」やオリと共に熟成させる「シュール・リー」などの製法により、複雑さやコクのあるタイプの甲州のワインも見られるようになりました。
主な産地

甲州の主な産地は山梨県で、全生産量のおよそ95%を山梨県が占めています。
山梨県のほかには、島根県や山形県などでも生産されています。
相性の良い料理

前述のように、甲州のワインは主張の強すぎない上品な味わいが持ち味のため、出汁で味付けをしたような、素材の味わいを活かした料理と抜群の相性です。
具体的には次のような料理とよく合います。
- 刺身・寿司
- 天ぷら
- 煮物類
- あさりの酒蒸し
- おでん
おすすめの甲州のワイン
シャトー酒折ワイナリー 甲州 ドライ
2016年に伊勢志摩にて開催されたG7サミットでも振る舞われた、山梨県産の甲州を100%使用した日本ワインです。
造り手はシャトー酒折。ワインの輸入販売会社である木下インターナショナル(株)のグループ会社として、1991年に山梨県甲府市酒折に設立されたワイナリーです。
非常に淡く、透明に近い色調。蜜柑や柚子などの和柑橘や青りんごの香りに、ほのかに吟醸酒のような香りも漂います。
軽やかな口当たりに、みずみずしい果実味、キリっとした酸味が特徴的。飲み込んだ後には甲州特有のほろ苦い余韻も感じられます。
その名前の通り、ドライでスッキリとした印象の1本です。